勉強・読書メモ

最近読んだ本について記録したりする場所です

今月読んだ本(2022年3月)

 

メモ

 今月はあまり読めなかった。

 今後減っていったら自分の人生おしまいである。

 

・柿木伸之『ヴァルター・ベンヤミン 闇を歩く批評家』岩波新書

 ヴァルター・ベンヤミンの思想を年代順に追ったもの。恐らくは解説だと思うが、ほとんど理解できなかった。そのため、色々と判断保留するほかない。

 自分がこの本を再び手にとる必要があるかどうかは、ベンヤミンのテキストに自分で当たって考える外ないと思わせることが目的だったのなら、その意図通りになっているとは思う(ベンヤミンセレクション読んだ方がまだ何読んでるか分かるかもしれないと思った)。

 

戸田山和久『「科学的思考」のレッスン』NHK出版新書

 科学的に思考することについて、全体として二部に分かれて展開される。第一部はメタ科学的な解説で、科学の営みにおける思考法や概念などが紹介・解説される。また、それらの概念の理解のもと、科学的思考を実践する練習問題も付されている(もちろん解答例も)。第二部は、第一部を総合した上での応用編と言った感じで、執筆当時問題となっていた原発問題を例に、市民の持つ(あるいは、持つべき)科学リテラシーについて触れられている。

 第一部、第二部ともに大変読みやすく、また構成も(相変わらず)丁寧であった。全然関係ないが、普段の戸田山さんの文量に比べるとかなり抑えめなのでは?と感じた。

 個人的に面白いのは、安心と安全の定義に対する見直しを提示するところであった。市民の捉え方についても、かなり伝統的な定義だと感じたが(対話する市民)、何よりも安心を主観的な概念として位置づけるのではなく、客観的な議論をする場においても考慮するべき事柄だと指摘する点が面白かった(pp.253-260)。

 

飯田泰之、SYNODOS編『もうダマされないための「科学」講義』光文社新書

 先に触れた戸田山さんの本で紹介されていた一冊。伊勢田哲治さんの論文があるということで興味を思った。全体的に面白く読めた。内容としては、トランスサイエンスがメインにありつつ、執筆当時(2011年前後)の影響が色濃く見えたり見えなかったり。ただ、編者たちが述べているように、それは恐らく元から想定されていた内容の流れは維持されていると感じた。

 収録されている論文は以下。

 

 ・1章 科学と科学ではないもの 菊池誠  

 ・2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治 

 ・3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀

 ・4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題

 ・付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子

 

 面白かったのは第二章と第四章。伊勢田さんのに関しては、モード1とモード2についての区別の導入が面白かった。第四章は専門家と市民の間のコミュニケーション問題を扱う点が、自分の問題意識と合致していて面白かった。

 付録については、特に3.11以降に出回ったデマの事例紹介などがのっていて、当時まだインターネットを触っていたなかった身としては、色々と驚くようなデマがのっていて、それが逆に面白かった。